パーリー建設は初めは東京の渋谷で始めたんですけど、その時に友香ちゃんと知り合って、それからずっと一緒で。その時友香は大学生だったので大学卒業してから鳥取市に来ました。
2017年に東京・神奈川から移住宮原翔太郎さん・井川友香さんご夫妻
パーリー建築で地域を巻き込んで若者が楽しむまちづくりをしたい。
活動を通して広がる人間関係が楽しさを倍増させる。
Profile
ご夫婦・20代で移住を決意
2017年 東京都から鳥取市へIターン
ぶっちゃけ話、聞いてみました! INTERVIEW
鳥取市に移住されたきっかけは?
宮原さん
自分の中で温泉が優先順位高くて温泉街に住みたかったんです。気高町に知り合いができたので、その人づてで引っ越してこようかなと思ったんです。「やったー」と思って来たら気高に温泉が全然無かったという(笑)
パーティーをしながら、施主やその土地の人々と一緒にセルフビルドで古民家、空き家を改修するという「パーリー建築」をされていらっしゃたと聞きました。パーリー建築の活動はどれくらいされていましたか?
宮原さん
2014年秋から2018年の4年間くらい。1件につき半年から3ヶ月くらい活動してました。その間、収入が無かったんですよ。
収入が無かった時はどうされてたんですか?
宮原さん
お金なくても死なないんだな、ということを学びました。生きる力がその時につきましたね。
パーリー建設をやろうと思ったきっかけは何ですか?
宮原さん
それしかできなかったんですよね。学校卒業してから最初に行った広島の尾道で、地域の人と一緒にDIYでゲストハウスを作ってる人がいたんです。
そのやり方を見て、これはすごく価値があるなって思いました。それをいろんなところで実践していったらニーズはあるんじゃないかなって考えて始めました。
鳥取市に住もうと決めたきっかけは?
宮原さん
僕の一存ですよね。僕は人が少ないところに住みたかったんですよ。なんとなく四国か山陰に住みたいなって思ってました。
四国の方からはオファーが1回しか来なかった。1回来て、それもなんか行けなかったし、四国あんまり温泉無いし。それで鳥取市になりました(笑)
人が少ないところに住みたい理由は?
宮原さん
個人としてもチャンスがありそうだし、東京みたいに人がいっぱいいるところだと若い人はなかなか打席に立てない。でも人が少ない鳥取市ならいろいろ挑戦出来そうだったからです。
あと、浜村はめちゃくちゃ廃れてしまった大変な町だと思って住んでるんですけど、この世の中、基本的にはそういう街ばっかりだと思うんですよ。
コンテンツ持ってて良い感じでやっている三朝とか吉岡温泉みたいに、しっかり自分のネタを上手に見せて人を呼んだり、町で面白いことやってる所はほんと一握りだと思ってるんです。
浜村はそういう意味では全くできてない。だから、そういうところでもっと町が豊かになることを実験的にやってみたら良いのかなと思いました。いろんなところで通用できるような解決策がもしかしたら提示できるのかなと考えています。
今回インタビューさせていただいている『ハマヴィラ』はゲストハウスですか?
宮原さん
一棟貸しの宿です。
宿をされてみたかった?
宮原さん
そうでもないんですけど(笑)
そうでもない…!!
宮原さん
よくわからない若者たちが集まる土壌は必要だなとは思ってやりだしました。『ハマヴィラ』の向かいにある『喫茶ミラクル』でも鳥取市に移住してからずっとシェアハウスをやっています。
『喫茶ミラクル』も宮原さんが運営されているんですか?
井川さん
そうです。一階が喫茶で二階がシェアハウスです。
今『喫茶ミラクル』の二階にも住んでおられる方が?
宮原さん
今、自分たち含めて3人が住んでます。多いときは8人くらい。結構部屋が広いんですよ。最初はゲストハウス的な事をやろうとしてたんです。
『ハマヴィラ』に関して言えば、バックパッカーみたいな感じの旅行者が1人また1人と来て、最近よく言う“関係人口”が増えていったらもっと楽しいかなと思って。それを目指して作ろうと思ったんですけど...
コロナの流行や何組もの対応を考えるとちょっと無理だなと思って1日1組に切り替えました。
ここを始められたはいつ頃ですか?
宮原さん
2021の4月ですね。
地元の人の反応はいかがですか?
宮原さん
宿だから基本的には地元の人が来れない場所なんで、最初にお披露目会をしたんですけど、思った以上に参加してくれました。
見てもらったらわかると思うんですけど、『喫茶ミラクル』とか改築工事としてめちゃくちゃなんですよ。適当。なので地元の人からしたら『ハマヴィラ』も「またあいつらが直したって『喫茶ミラクル』の二の舞になる」と思ってるとは思うんですけど(笑)
『ハマヴィラ』は頑張って本気で作ったんで、結構ちゃんとしてるんです。夏は気持ちいいと思うんですけど、冬は太陽が昇らないうちは寒いかもしれない(笑)
パーリー建築の初期メンバーは何人だったんですか?
宮原さん
男の子2人ですね。一人は僕の同級生でもう一人はずっと一緒にパーリー建築をしていた仲間です。
パーリー建築自体は基本は自分1人でやってましたね。
鳥取市に住んでみて日々の生活が変わった事とかありますか?
宮原さん
結構いろんなところを点々としていたのもありますが、ここに来て、東京で住んでた感覚が失われてる気がする。
井川さん
私は車の免許を取りました。実家には車すらなかったんですけど。
宮原さん
こっちに来てすごく安く車を譲ってもらいました。
移住後の一日のスケジュールは?
宮原さん
鳥取に来て毎日のルーティーンは無いですね。宿にお客さんが来る来ないで生活スタイルは変わるので。
友香ちゃんは洋服とか作るのが好きなんで、綿花とか育ててましたね(笑)
井川さん
夏にね。
宮原さん
見た目も結構可愛いんですよ、綿花。そういう田舎っぽいこともしてるよね。
井川さん
基本的にすぐ東京に遊びに帰っちゃうんで。
宮原さん
東京の友達にはオーガニックの生活していると思われてるみたいで。全然そんなことないんですけど。
宿にお客さんがいない時の過ごし方は?
井川さん
近所にバイトに行ったりしてますね。ミシュランガイドにも載ったことがある有名なラーメン屋さんや、たまに近くの旅館にもバイトに行ったりします。
お休みの日の過ごし方は?
宮原さん
友達のお店に行って食事とかしてますね。
井川さん
鳥取市に来てそういう繋がりが増えましたね。東京では行きつけのお店とか無かったんですけど。
宮原さん
そうそうそうそう!それが一番良いところかも!
井川さん
友達に自営業の人多いもんね。
宮原さん
友達みんな自営業で、何なら僕が内装している店もいっぱいあるんで、だから店に遊びに行くと結構知り合いがいるって事が多いんですよ。
井川さん
店長が友達だったり、お客さんが友達だったり。
宮原さん
東京とかにはそういうお店とかなかったから、そういう意味ではすごく嬉しいですよね。コミュニティーができたって感じ。
鳥取市に移住して苦労されたことは?
宮原さん
鳥取県東部の人って結構シャイじゃないですか。それがお店の接客とかにも出る時があって…あたりがキツイことがあってつらい。鳥取、米子でも違う気がする。不思議。
井川さん
私は冬が寒いとこですかね(笑)
あんまり晴れないとか(笑)
雪が降るとすぐ飛行機飛ばなくなったりとか。
宮原さん
友香ちゃんは引っ越してくる前は晴れてる方がいいなぁって言ってたんです。だけど、僕はそんな人のためのイベントを思いついて2回やったんですよ。『曇天野外』っていうすごく良いイベントで、晴れたら中止なんですよ。
井川さん
2018、2019年と2回やりました。
宮原さん
曇りの日に合うミュージシャンだけを呼んでフェスをやるっていうのを2回やったんですよ。ブッキングにも妥協せず全国のミュージシャンを呼んで。
フェスはどこでやられたんですか?
宮原さん
浜村の海沿いのカーポートっていうラーメン屋さんがあって、そこを会場にしてやりました。
こんな遠いところまで来てくれるんだろうかと心配したんですけど、みんなすごく面白がって来てくれて。「なんだ、場所って関係ないんだな」って思いました。地元の方にも声をかけて『貝がら節』も歌ってもらいました。
フェスをやる資金はどのようにして集めたんですか?
宮原さん
最初はクラウドファンディング。基本はチケット収入だけです。2回目はバチバチに赤字ですごく疲れました(笑)
でもすごい良い人たちを呼べたから良いかなって。
井川さん
またやりたいよね。
宮原さん
やりたい、やりたい。
移住して良かったと思いますか?
宮原さん
良かったです。友達のお店に行ったりとかして楽しい。
東京での生活と比較していかがですか?
宮原さん
東京では大学に行ったあと専門学校行って、ずっと学生だったんですよ。東京で社会人したことないんで比較しにくいんですけど、
東京だと1つのコミュニティーの中にいる気がしてたんですが、鳥取市だとなんとなくいろんなコミュニティーとつながっていて、縦断したり横断している感じがします。
鳥取では関係性の広がりができておもしろいですね。
鳥取市での5年後、10年後の夢は?
宮原さん
移住した時から考えてる夢は、この寂れた通りにちょっとずつ若い同世代が住み始めたり、お店ができ始めたり、そういうのがしやすいところにしたいと思っています。そして、良い友達に囲まれて生きていきたいなぁとは思いますね。
今は...雰囲気はいいんですけど、人がいないんですよね。もったいない。
移住を考えられている方にメッセージをお願いします
宮原さん
あまり気合入れない方が良いんじゃないかなって思います。もっと気軽に引っ越してください(笑)
パーリー建築をしてた頃は本当にお金を持ってなかったんですけど、本当にお金を持ってない人にはこの国って優しいんですよ。全然死ねないようになってるんだなぁみたいな(笑)
だから鳥取で何かやりたいなって思ったら是非来たらいいと思います。
ありがとうございました。