2021年から鹿野で活動佐伯圭介さん

京都と鳥取の二拠点生活を通じて、都市と地方の関係性を再編集していく

Profile

2人家族・鳥取県米子市出身 
2021年 合同会社星ノ鳥通信舎を創業
鹿野町の『お試し定住体験施設』を仮住居兼仮

オフィスとして利用

ぶっちゃけ話、聞いてみました! INTERVIEW

Q

ご出身は?

Q

圭介さん

鳥取県米子市出身です。大学進学を機に大阪に出て、そのまま関西で就職しました。

Q

どのようなお仕事をされているんですか?

Q

圭介さん

関西の鉄道会社で、主に駅を核とした沿線の商業・観光開発の仕事に就きながら、2020年に編集・デザイン・メディア業をコアとした合同会社星ノ鳥通信舎を起業しました。

Q

「鹿野町お試し定住体験施設」利用の経緯を教えてください。

Q

圭介さん

「鹿野町お試し定住体験施設」は、2021年7月から星ノ鳥通信舎でお借りさせていただき、仮オフィス件仮住居として活用させていただいています。

山川草木といった自然にできるだけ近い場所に実験的にオフィスを構えたいと考えていたところ、ご紹介いただきました。

Q

2021年に鳥取市で実施した事業とはどのようなものだったのですか?

Q

圭介さん

VR/AR等のXR技術を用いて宇宙体験コンテンツを制作する宇宙ベンチャー企業からお声がけいただき、鳥取砂丘を月面に見立てた宇宙飛行士体験プログラムを当社でプロデュースさせていただきました。
月面に類似した鳥取砂丘の自然環境に、最新のデジタル技術をミックスさせた体験型の宇宙エンターテイメントです。

Q

鳥取市へはどのくらいの頻度で来られましたか?

Q

圭介さん

2週間に1度は帰ってきて、1回の滞在は4~5日です。

Q

『星ノ鳥通信舎』はどういった事業をされているんですか?

Q

圭介さん

現在の主力事業は企画・編集・デザイン業になりますが、「人間社会と自然環境のあいだを再編集する」ことをコンセプトに揚げています。
街・企業・工場・イベント・商品といった様々な単位の編集にかかわっていますが、自社・他社案件に関わらず、環境を再生するための「自然知覚力(ネイチャーセンス)」を個人または社会レベルで回復していくことをミッションとしています。

Q

鳥取市の魅力を教えてください。

Q

圭介さん

都市と自然の距離感が丁度良いところです。
人と人の文化的交流が盛んな駅前を中心とした都市部と、動植物らとの見えない交感がある山間部を日常的に往復できる距離が非常に魅力的です。

Q

ご出身は米子市ですが、鳥取市を選ばれた理由を教えてください。

Q

圭介さん

現在の県内におけるビジネスが鳥取市の方が多いということもありますが、風土的な魅力から鳥取市を選びました。米子市は、大山という「大きな自然」が分かりやすくそびえ立ち、街に恵みをもたらしている一方で、鳥取市は「小さな自然」が街のあちこちに分散しているイメージがあります。自然環境は「風土」を形成し、その地の見えない「思想」となり今も生きているはずですが、身近な生活の道中で自然知覚力(ネイチャーセンス)を回復させていくことを企む私たちとしては、アニミズム的な土壌があちらこちらに分散して残る鳥取市の方がフィットしていたという感じです。

Q

確かに鳥取市なら五感で四季を感じますね。

Q

圭介さん

少し哲学的な言葉ですが「中動態」でいれる場所です。
自然災害や新型コロナウイルスの蔓延等で気づかされた通り、自然環境を一方的にコントロールするには限界があるし、ただ待っているだけでも安心・安全は担保されない。自然に働きかけながら、自然の声を聴く。能動的な態度と、受動的な姿勢の両方を行き来しながら生きる、というとなんだか窮屈なように聞こえるかもしれませんが、とても豊かであります。お金を払ったら物を買える市場とは別の「交換」がそこにはあります。

Q

関西と鳥取市を行き来して働くことで生まれる苦労はありますか?

Q

圭介さん

ここにあまり苦労を感じていません。

関西圏の至る所で鳥取の食材が流通し、逆に鳥取の観光産業も関西圏からの来訪が大きなシェアを占めているように、都市と地方は多様な側面で支え合って成り立っていると考えています。その可能性や見え隠れする課題をまだ見切ったわけではないので、仕事的にも生活的にも、都市と地方を行き来しています。

Q

田舎だからこそできる今後の抱負や、やってみたい仕事を教えてください。

Q

圭介さん

繰り返しになりますが、星ノ鳥通信舎は、編集・デザインのアプローチから”人間社会と自然環境のあいだ”を再考するプロジェクトを自社単独または他社共同でこれからも展開していく予定です。
地元である鳥取でも、代々受け継がれてきた風土や思想、文化に目を向け、そこに新しい発想を取り入れながら、生活に豊かさをもたらす提案を行っていきたいと思います。特に「民藝」の知恵が多分に転がるこの地で、人間的にも環境的にも喜ばしい生き方や働き方を探す、アソビとマナビが融合した体験を各所に仕立てていくつもりです。

Q

田舎で起業する魅力は?

Q

圭介さん

仕事と生活が融合することです。

仕事を通じて環境や社会のことを学んでいると、ふと遊んでいる高揚感がもたらされることがよくあるし、その逆で遊んでいたはずが学びに振れることもある。これは自然環境が適度に残っていることや、人口減少で空地が増えていることなども含め、”まちに余白(space)がある”ことがもたらす感覚かと思っています。

私は、会社は一個人やその仲間の生き方を表現する媒体と考えていますが、それを様々なカタチで表現する空間がたくさん転がっているので、チャレンジや実験を受け入れる土壌が豊かといえます。

Q

鳥取市ならではの暮らしやすさ・暮らしにくさはなんですか?

Q

圭介さん

朝、農地や畑周辺をランニングしていたら、農家さんが土を被った取れたての野菜を持って、「おーい、持って帰れ!」なんて声をかけてくれますし、寝起きに飲む湧き水も極上のうまさです

Q

圭介さん

暮らしにくさは、冬場の雪掻きくらいでしょうか。最初は楽しくても、それが続けば自然のチカラを思い知らされます。あとは、将来的に人口減少社会の中で公共交通が減っていく未来を考えると、市内の移動手段がマイカーや特定の公共交通だけに限定されるのは少し面白みに欠ける気はしています。

Q

鳥取市に来るとき必ず持ってくるものはありますか?

Q

圭介さん

仕事用のノートパソコンと本です。

特に、読書はその本のテーマに合った環境も大事なので、地球環境系~生態系、人類学、考古学に関する本や、集中して読みたい論文などは積極的に鹿野に持ち運んでいます。

Q

鳥取市への移住を検討されている方にメッセージをお願いします。

Q

圭介さん

これからの自分の生活に何が必要なのかが分からないくらいの状態で、まずは体験的に”異なる日常に身を置く”経験は、予想外の気づきをもたらしてくれるかもしれません。都会から田舎に移住すれば、これまでの「便利」を支えてきたモノへのアクセス性は下がるかもしれませんが、「便利」を超えて生活に豊かさや助け合いを育む自然やヒトへのアクセス性の大切さに気付かされます。

都会と田舎の両方の豊かさを欲する私が言えることは少ないですが、まずは実験的に異なる日常を体験してみることは無駄にはならないと思います。


ありがとうございました。

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