なんとなく自分でもできるようになってきた時、ちょうどコロナが流行り出して、作ること自体できなくなってしまいました。
2019年に大阪府から移住楳川友美さん
田舎暮らしに憧れて地域おこし協力隊に参加。
モノづくりの特技を活かし、伝統を受け継いでいく楽しさ
Profile
出身は大阪府
30代で移住を決意
2019年 大阪府から鳥取市へIターン
ぶっちゃけ話、聞いてみました! INTERVIEW
地域おこし協力隊でやっておられる事は何ですか?
楳川さん
流しびなの伝統継承で来させていただきました。
活動内容を教えてください。
楳川さん
着任してすぐは、まず流しびなを作れないと何もできないので、作り方を地元『ときわ会』のメンバーの皆さんに教えていただきました。
役場にいる時間が増え、何をすればいいのかと考えた時、私はもともと編み物が得意で資格も持っているので、自分の特技を何か活かせないかなと思って、流しびなを載せる藁(わら)の部分を毛糸で編んでみることを思いつきました。
今は自分でつくった流しびなを販売したり、ワークショップで制作体験もしています。
流しびなの本来の編み方は全身を使って編むんです。藁を台の上に置いてそれを足で抑えて手で編んで一周ぐるって回すって作業なんで、年配の方とか足腰が丈夫では無い方は厳しい。
でも毛糸なら机の上に手を置いてできるので、どんな方でも制作体験していただけるかなと思って。
今はそのワークショップの準備にほとんど費やしてます。
鳥取市に移住されたのはいつ頃ですか?
楳川さん
2019年の10月です。任期は3年なので2022年の9月いっぱいまでです。
鳥取市に移住されたきっかけは?
楳川さん
私の家は親戚みんな大阪市内に住んでいて、田舎っていうのが無かったんです。小学校の夏休みには友達はそれぞれの田舎に帰って、川で遊んだり、なすびを採ったりする…そういう話をたくさん聞いていて、それがすごく羨ましかったんですね。自分にはできない経験だから。
いつか田舎に住みたいなっていうのは頭の片隅にはあったんですけど、なかなかそういう機会が無くて...
大阪から出たことがなかったので、このままだと多分どんどん年齢を重ねて、ずっと大阪におるなって思ったんです。
これはもう「自分から動かないと無理やな」と思ってた時、テレビで『地域おこし協力隊隊員』のニュースがあって「そんな制度があるんや」って初めて知りました。
それでインターネットで協力隊の募集サイトを見て調べてみました。
条件は「何かあった時に大阪にすぐ帰れるような距離」で「物づくりに関われること」。探していたら、すぐに用瀬の地域おこし協力隊募集に目がとまりました。
問い合わせでメールを送ったら、すでに選考が始まっていたみたいで、応募するなら急いで欲しいと(笑)
なので急遽、面接を受けさせてもらって今に至る感じです。
すぐにでも移住したいと思っていたので大阪の仕事もバイトに切り替え、すぐに辞められる状態にしていたので、合格の電話をもらってから2週間かからずに移住しました。
とはいえ荷造りも仕事終わってからしかできないし、休みの日は役場に行く必要が出てきて、めちゃくちゃどたばたしました(笑)
でも私にはそれが逆に良かったかもしれません。あれこれ考える暇なく来れたので…1人暮らしも初めてだったので、移住までの日にちがあると不安に駆られて動けなかったかもしれません。
鳥取市に移住をしたいと思ったポイントは?
楳川さん
物づくりができることと大阪に近いとこ、あとは山がある所ですね。山が好きなんです。
鳥取市の中でも用瀬という地域に行こうと思った決め手は?
楳川さん
直感ですかね。なんか良さそうって思って。用瀬の写真や流しびなの写真を見て「これなら私作れるかも」って思ったんですよね、「おもしろそうやな!」って。
それで実際に来てみたら町の雰囲気がすごく良くて、自分が住んでいるイメージがすぐにできたんです。波長が合うというか、自分がイメージしてた田舎像と重なるところが多かったんですね。田舎すぎないところもよかった。
車を所有されていないそうですが、買い物とかはどうされてるんですか?
楳川さん
車の免許はあるんですけど車を持っていないので徒歩ですね。
自転車もあるんですけど冬は雪で運転できないし、夏は夏でめっちゃ虫飛んでるし(笑)
用瀬にいる時は徒歩でも不便な感じはないです。
田舎での暮らしに車がないのは不安ではなかったですか?
楳川さん
全然なかったですね!周りの人には驚かれますが。小さいときから車に乗る習慣が無いから車の便利さを知らないんですね。無いなら無いで大丈夫。
もちろん行けない所もありますよ。
きっと、こちらのみなさんは車が無いと生活できないって思い込みすぎてるんやと思います。でも誰もわかってくれない…(笑)
鳥取に長いこと住んでいる人ほど車がない生活が考えられないんだと思います。
移住の手続きや住むところのサポートは用瀬町の担当者にお願いされた?
楳川さん
そうですね。仕事と家を手配していただて、すごく助かりました。特に住まい探しは移住するまでに時間が無かったので本当に助かりました。
鳥取市に来て生活の変化はありましたか?
楳川さん
移住してすぐは全く料理もせず、ずっとスーパーのお弁当を食べてました(笑)
初めはやる気満々やったんです。これまでずっと実家暮らしで、初めての1人暮らしだったので自分の好きなようにやれるって思ってたんですけど…料理が出来上がるまですっごく時間かかるんです…それで出来上がった料理を食べたらそんなに美味しくない(笑)
その話を職場や周りの人に話したら差し入れくれるんですよ!
果物とか貰うんですけど、皮剥くのがめんどくさくてダメにしちゃって(笑)
それを言ったら今度は皮を全部剥いた状態で持ってきてくれました(笑)
鳥取のお米はすごく美味しいです!スーパーで売ってる普通のお米もめちゃめちゃ美味しい。ごはんとふりかけだけで大丈夫(笑)
野菜や果物も近所の方や職場の方にびっくりするほどいただくんで、今は料理もするようになりました。
移住してから考え方などに変化はありましたか?
楳川さん
私、大阪より鳥取にいる方が多分、性格良いと思います(笑)
大阪に居るときはセカセカしてたし、イライラしてた気がします。人が多い分、嫌な人も多いんで、ちょっとしたことですぐ怒ったりしていました。
でも鳥取市に来てからは全然そんなことがないです。周りに流されず自分のペースでいられる。本来の自分でいられる気がします。時間の流れがゆったりしている感じ。
これ、本当に不思議なんです。大阪での暮らしは近くになんでもあって便利なはずなのに忙しい。鳥取市の方が便利が悪くて忙しいはずなのにゆったりしている。1年目では気づかなかったですね。長く住んでわかってきました。
移住して1年目はこのまま用瀬で生活するか、まだ不確定な気持ちがあったんですけど、今は住み続けたいなって思います。
用瀬に住み続けたいと思われたきっかけはなんですか?
楳川さん
きっかけとかは無いんです。ずっと住みたいなって気持ちは徐々に出てきました。大阪に帰った時に「鳥取の方が良い」って思う回数が増えてきたんです。
大阪から鳥取市に戻って来た時に、自分の居場所に帰って来たように感じたんです。友達は大阪に比べて少ないけど、普段の暮らしは鳥取の方が自分に合ってる気がします。
お休みの日どのように過ごしていますか?
楳川さん
何もしてないかも(笑)
天気がいい時は鳥取市内に出たりするんですけど、車なし生活なので移動が一日がかりなんです(笑)
あと私カラオケが好きなんで1人で行ったりします。
悪天候で外に出れないときは家の中で編み物してます。もともとがそんなに活発な方ではないので、外に出られないっていうストレスはあまり無いのかもしれないです。
鳥取の雪は困りましたか?
楳川さん
凍結が怖いです。歩いているとズルズル滑ります。
私1回こけたんですよ、尻もちついた(笑)
そこから怖くて怖くて。一度、家の水道管が凍結して大家さんに助けてもらいました。
冬以外の季節で困ることはありますか?
楳川さん
虫が嫌です。嫌ですけど、カメムシだけは多すぎて逆に慣れました。家の中にヤモリとカメムシが入って来たんですよ。びっくりしました。
移住をして困ったことやギャップはありましたか?
楳川さん
私が鳥取のこと知らなさすぎてギャップって感じられてなかったと思います。移住前から変に期待もしていなかったので先入観もなかった。そう思うと下調べって大事ですけど、しすぎるのも危ない気がします。
調べれば調べるほど想像が膨らんでいくんですけど、行ってみないとわからないことが多いと思うんです。仕事でもそうですよね。入ってみないとわからない。
勢いって大事ですね。私も移住がダメだったら大阪に帰ろうって思ってチャレンジしましたから。
移住して良かったと思いますか?
楳川さん
はい!あの時、本当に勢いで来れて良かったなって思います。
あの時動かなければ多分ずっと大阪に居たままだった。それこそ、用瀬の暮らしも全然知らずに終わっていたと思います。
“自分の叶えたい夢って口に出すと良い”っていうじゃないですか。なので私、口に出しはじめたんですよ。「田舎に住んでみたい」って。
口に出しはじめてしばらくすると「私めっちゃ言ってんのに何もしてない」ってなるんですね、自分で。それで「何か動かないと」ってなりました。自分の意識がかなり変わってきました。
やっぱり口に出すのは大事やなって思いました(笑)
鳥取市での5年後、10年後の目標や夢を教えてください!
楳川さん
結婚しときたい(笑)
いや、5年10年って話って言うから(笑)多分結婚してたら本当に鳥取にずっと居るんだろうなって思います。10年後に1人やったら、ちょっと...(笑)
でも10年後も流しびなに携われてたらいいなって思います。
ありがとうございました。